〜03 誕生日・前編〜
新暦75年 6月4日
「ほら、なのは‥‥しっかり」
「ほぇ‥‥‥‥フェイト‥‥ちゃん?」
「明日も朝から教導あるんだから、ちゃんとベッドで休んで、ね?」
自分で立つこともおぼつかない状態のなのはを、フェイトはやっとの思いでベッドに寝かせる。
「ぅ‥‥ん。おやす‥‥――スー、スー」
寝息を確認して、ベッドをコレでもかと独占している少女の横に腰掛ける。
上掛けをかぶせ、前髪をかきあげても――なのはが目覚める気配は無い。
――よほど疲れているのかな。
月明かりに照らされただけの部屋は――静かで、なのはの寝息以外聞こえない。
むしろ、寝息が聞こえているとは思えないほどの――静寂。
――そうだ、やることがあったっけ。
デスク前に座りなおすフェイト。
「さっきまで、あれだけみんなと騒いでたのにね――」
あまりの静けさが、あまりに意外で――そんな独り言がこぼれてしまう。
――そう。
2人とも――たった今、休憩所の喧騒から抜け出してきた所だった。
明日のシフトがあるとはいえ、休憩所の騒ぎはもうしばらく続くだろう。
なんたって今日は、はやての誕生日だもんね――。
「だからって飲み物にアルコールまぜるのはやりすぎだよ、はやて」
そんなフェイトのつぶやきを聞いていたのは――2枚の写真。
眠気で体をデスクに伏せていく自分を自覚しながら、その写真に目をやるフェイト。
――そうか。あれからもう‥‥‥‥――――。
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