HOBBY×HOBBY《Hobbys Square》

     管理人 兼 駄文屋店主:あさひ@駄文屋

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Nanoha SS vol.4

 女の子の朝は、とても早い。
 ――なぜかといえば、やることがたくさんあるからだ。
 寝癖を直すのもその一つ。
 アリサ・バニングスは、鏡台の前で髪をとかしながら、遅々として進まない"いつもの行為"に苛立っていた。
「まだ餌もあげてないのに‥‥」
 ブツブツとこぼしているのは、アリサが飼っている犬たちのことだろう。
 心の苛立ちが邪魔して手が遅くなり、それがまた心を苛立たせる。
 その症状も今日は特に酷い。
 原因は、アリサ自身もわかっている。
「なのはったら‥‥まったくも~っ!」
 頬を膨らませながら"苛立ち"を言葉にする。

 そう。
 ――なのはの様子が、最近おかしいのだ。

 いつもなら、喧嘩したりしながら何とかなるのがあたし達3人だった。
 何てったって、出会った時から喧嘩してたほどなのだから。
 朝の少ない時間の中、今までを思い返すアリサ。
 その表情には、微かに微笑みがうかがえる。
 その微笑みに、悪戯っぽさがうかがえるほどの時間が経った頃。
 もうその時には、アリサは決意を固めていた。
 「今日こそは、喧嘩してやるんだから」
 そうつぶやきながらバニングス家の門をくぐる彼女の後姿は、どこか勇ましく見えた。

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Nanoha SS vol.3-2

  〜03 誕生日・中編〜

 ひとしきり泣いた後。
 フェイトは、リンディに胸のうちを告白していた。

 はやてに言わせてしまった"一言"――。
 プレシアのこと――。
 アリシアのこと――。
 自分の"記憶"――。


 リンディは黙って聞き続けた。
 フェイトが言いづらそうな時も、喋るまで待ち続けた。

「そう‥‥、そんなことがあったの――。打ち明けてくれて、ありがとう。フェイト」

 フェイトの告白が終わって――。
 リンディは微笑みながら、そんな返事をする。

「ぇ! ‥‥ぃや、あの‥‥‥‥そんな」
「驚かなくてもいいのよ、フェイト。だって私たち‥‥、家族なんだから」

 "家族"という言葉に、"家族"と言ってくれたリンディに。
 フェイトは、確かなぬくもりを感じ始めていた。

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Nanoha SS vol.3-1

  ~03 誕生日・前編~

新暦75年 6月4日

「ほら、なのは‥‥しっかり」
「ほぇ‥‥‥‥フェイト‥‥ちゃん?」
「明日も朝から教導あるんだから、ちゃんとベッドで休んで、ね?」
 自分で立つこともおぼつかない状態のなのはを、フェイトはやっとの思いでベッドに寝かせる。
「ぅ‥‥ん。おやす‥‥――スー、スー」
 寝息を確認して、ベッドをコレでもかと独占している少女の横に腰掛ける。
 上掛けをかぶせ、前髪をかきあげても――なのはが目覚める気配は無い。
 ――よほど疲れているのかな。

 月明かりに照らされただけの部屋は――静かで、なのはの寝息以外聞こえない。
 むしろ、寝息が聞こえているとは思えないほどの――静寂。


 ――そうだ、やることがあったっけ。
 デスク前に座りなおすフェイト。
「さっきまで、あれだけみんなと騒いでたのにね――」
 あまりの静けさが、あまりに意外で――そんな独り言がこぼれてしまう。

 ――そう。
 2人とも――たった今、休憩所の喧騒から抜け出してきた所だった。
 明日のシフトがあるとはいえ、休憩所の騒ぎはもうしばらく続くだろう。
 なんたって今日は、はやての誕生日だもんね――。

「だからって飲み物にアルコールまぜるのはやりすぎだよ、はやて」
 そんなフェイトのつぶやきを聞いていたのは――2枚の写真。
 眠気で体をデスクに伏せていく自分を自覚しながら、その写真に目をやるフェイト。


 ――そうか。あれからもう‥‥‥‥――――。

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Nanoha SS vol.2-2

  〜02 プレゼント・後編〜

 厨房ををザフィーラに任せて隊舎を出たはやてたち3人は、ある目的のためクラナガンまで来ていた。
 ――ヴィヴィオに似合うものが見つけられればええなぁ。
 はやては、ヴィヴィオやなのはたちの笑顔を思い浮かべていた。

 ヴィヴィオが作ったキャラメルミルクをただ出すだけではなく、"可愛い服を着てキャラメルミルクを運んできたら2人を驚かせられるに違いない。
 というのが、はやての考えた悪戯である。
 モチロン、ヴィヴィオに似合う服の心当たりがあってのことなのだが。
 ――ヴィヴィオはどんな服を選ぶんやろか。

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Nanoha SS vol.2-1

  〜02 プレゼント・前編〜

 機動六課隊舎。
 その中にある隊員食堂では、六課に勤めるメンバー全員の食事を一手に引き受けている。
 となれば、厨房もそれなりの広さがある。
 今は休憩時間なのか働く人もまばらな厨房の、通路に近い一角――。
 エプロンをつけた――厨房には場違いな――少女が小鍋を覗き込んでいた。
 少女は金髪のツインテールをゆらしながら、オッドアイの瞳に涙を浮かべている。
「う……うぅ〜」
 何を作ろうとしていたのか――小鍋は黒く焦げ付いていて、一目で失敗したらしいとわかる。


「…………」
 そんな少女を静かに見守るような視線が一つ、近くにあった。
 暖かい視線をむけるザフィーラは、彼にしては珍しく人間フォームだ。
 彼なりに、厨房という場所を気遣ったものらしい。
 ただ、ザフィーラは明らかに困っていた。
 涙を浮かべる少女を前に、彼女の守護を任されている自分がどうするべきかわからないようだ。

 別に、焦げ付いた鍋をどうすればいいかで困ったわけではない。
 むしろ――焦げ付きの処理など、覚えたいわけでもなかったが頭に焼き付いてしまっている。
 ただ、目の前の少女にどう手を差し伸べたらよいかわからないまま、ザフィーラは立ち尽くすしかなかった。

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